
どうも、しがない研究者『ノウキン』です。
今回はリゼロに登場するトラウマ魔獣『大兎』について解説します。
大人気シリーズである『Re:ゼロから始める異世界生活』(以降、『リゼロ』)。
原作は長月達平先生が『小説家になろう』で連載しているラノベ作品です。
2016年にはアニメ化され、その人気に拍車がかかりました。
現在でもその人気は衰えておらず、2025年2月にはアニメ3期の後半が放送されています。
リゼロの物語は、平凡な主人公『ナツキ・スバル』がコンビニ帰りに異世界転生するところから始まります。
異世界転生後すぐにヒロインである『エミリア』と運命的な出会いをし、スバルとエミリアは協力関係に発展。
紆余曲折ありながらもスバルはエミリアの騎士となるまで信頼関係を築き、仲間達と共に数々の苦難を乗り越えます。
以上がリゼロの超簡略化したあらすじです。
このあらすじだけだと、よくある異世界転生系の話に聞こえますね。
しかし、リゼロは平凡な人間が無双できるような都合の良い世界観の作品ではありません。
ですので、主人公だろうがヒロインだろうが容赦なく死亡します。
ただし、主人公が死亡してそのままだと物語が終わってしまうので、スバルには救済措置の能力が存在。
その能力こそがリゼロの醍醐味である『死に戻り』。
もう少し詳しく言うと、スバルが死亡することで発動する時間を巻き戻す能力です。
主人公がこの能力をもつおかげ(?)で、リゼロでは数多くのトラウマシーンが誕生。
その中でも作中屈指のトラウマシーンを生み出したのが、今回紹介する『大兎』です。


引用:Re:ゼロから始める異世界生活 第四章 聖域と強欲の魔女(5巻)



きぃ



お!こんな所に可愛らしいウサギがいる!
ちょっとなでてみようかなー



それはやめておいた方がいい。
触れれば命を落とすことになるよ。





命を落とす…
触ったら死ぬってこと?汗



その通りさ。
君の目の前にいるのは『大兎』という魔獣だよ。



魔獣!?
お姉さん、何で魔獣ってわかるんですか?



この子がボクのペットだからだよ。
ボクは凶暴な魔獣を研究しているのさ。



きぃ!



いや、そんな危険なやつを放し飼いしないで!



この子はボクが改造した個体だから、触れなければ大丈夫さ。
でも、驚かせてしまったお詫びはしないとね。
そうだ、大兎について説明してあげよう。



きぃ!



改良しても危険なことには変わりないですよね…?
お詫びはいいんで、早くその魔獣を何とかしてください(汗)



ボクはとある魔女の複製体。
親愛を込めて『コピドナ』とでも呼んでおくれ。



こっちの意見ガン無視かよ…
一見すると可愛らしい見た目をしている大兎。
しかし、この大兎によってスバルは死に戻りさせられており、そのシーンはトラウマもの。
討伐するのも難しく、作中でスバル達はかなり苦戦しています。


本記事では、そんな大兎の脅威と対策について解説します。
内容の都合上、本記事は『Re:ゼロから始める異世界生活 第四章 聖域と強欲の魔女』のネタバレを含みます。
ネタバレを回避したい方は先にアニメ2期または以下のマンガを先に読むことをオススメします。
生きる災害『大兎』


『大兎』はリゼロ世界で三大魔獣と呼ばれる魔獣の一角。
他の三大魔獣には『白鯨』と『黒蛇』がいます。
三大魔獣は暴食の魔女『ダフネ』によって創り出されました。
ダフネは常に飢餓感に襲われており、彼女曰く三大魔獣は人々を飢餓から救う存在。
例えば、体長約50mに及ぶ白鯨なら、その巨体を食べることで多くの人が満足するような発言をしています。


引用:Re:ゼロから始める異世界生活 第四章 聖域と強欲の魔女(5巻)
しかし、実際はリゼロ世界の人々がひたすらに三大魔獣の被害に遭っているだけの状況。
リゼロ世界において、三大魔獣は生きる災害と言っても過言ではありません。
それほどの脅威となっている原因は、三大魔獣それぞれの戦闘力と特性にあります。
序盤に登場した白鯨は厄介な特性に加えて、その巨体により高い戦闘力を有していました。
スバル達に討伐されてはいますが、白鯨の討伐は大軍を率いてようやく成し遂げることができるほど困難です。
一方で、大兎の戦闘力は他の三大魔獣に比べると高くありません。
作中では「単純な戦闘力で比較すれば白鯨の方が遥かに勝る」とまで言われています。
では、なぜ戦闘力で大きく劣る大兎が三大魔獣と恐れられているのでしょうか?
その理由は、大兎の特性による生存力の高さと無限の食欲にあります。
本章では、そんな大兎の脅威について解説します。



大兎は「三大魔獣」と恐れられる存在だ。
その主な理由は何だと思う?



三大魔獣って…なんかヤバそう。
めっちゃ凶暴で強いとか?汗



確かに大兎は凶暴ではあるが、単体の強さは大したことはないんだ。



なぁんだ!
じゃあ、そんなにビビらないでも大丈夫ですね!



きぃ!



その判断は早計だね。
大兎の脅威はその特性による生存力の高さと無限の食欲にあるのさ。



え…?
無限に分裂する特性
現実世界において、増殖する生物として有名なのは『アメーバ』と呼ばれる生物群。
アメーバは単体が分裂するだけで個体数を増やす無性生殖を行うので、環境さえ整えば無限に増殖できます。
ただし、これが可能なのはアメーバが『単細胞生物』であるため。
単細胞生物は1つの細胞から成るので、1回の細胞分裂で簡単に個体を増やせるのです。
つまり、アメーバは分裂して増殖するハードルが非常に低いということ。
現実世界では、単細胞生物以外で分裂して増殖することは非常に難しいと考えられます。
例外として、本ブログで以前紹介した『プラナリア』がいますが、完全な1個体に分裂するまでに1週間程かかります。
しかし、異世界の魔獣である大兎に現実世界の常識は通用しません。
どう見ても単細胞生物ではないにも関わらず、大兎には無限に分裂する特性があります。
暴食の魔女ダフネ曰く、この特性で増えた大兎を食べれば誰も空腹にならずに済むそうです。


大兎は多数の群れで行動しますが、実は元々1匹だったのが分裂した集団。
作中では、大兎という名称は『多兎』が転じたことに由来すると言われています。
また、恐らく1匹の大兎が分裂できる数には制限がなく、瞬く間に分裂が可能。
そのため、群れの中の1匹でも逃せば、大兎はまた増殖して群れを成します。
つまり、大兎を滅ぼすにはひとまとめに群れを葬るしかないのです。
この無限に分裂する特性によって大兎は高い生存力を得ており、三大魔獣の中でも討伐が困難な存在となっています。





大兎は単体が無限に分裂して群れを成す。
この特性によって高い生存力を有しているんだ。



きぃ!



無限に分裂!?
じゃあ、目の前にいる大兎も増えちゃう感じ…?



この子は分裂しないように改造してるから安心しておくれ。



それなら安心…なのか?
でも、無限に増えるなら世界が大兎だらけになっちゃうんじゃ…?



大兎にある程度の理性があればそうなるかもね。
でも、大兎は食欲に支配された存在。
一定以上増えると共食いを始めてしまうのさ。



共食い!?
仲間を食べる程の食欲って一体…



ちょうどいいから次は大兎の無限の食欲について説明しよう。
無限の食欲
大兎には、無限に分裂する特性に加えて無限の食欲があります。
言い換えれば、常に空腹なのです。
そのため、大兎は飢えを満たすことだけを考えています。
目の前に生物がいれば、大兎にとってそれは食事。
大兎が道を通れば、あらゆる生物が食い尽くされてしまいます。
その様子は、大兎が通れば「あとには無人の野しか残らない」とまで言われるほど。
ただし、食欲が強すぎて最終的に大兎同士の共食いが始まってしまいます。
増殖した大兎によって世界が覆い尽くされていないのは、皮肉にもその強すぎる食欲のおかげというわけです。
そんな無限の食欲をもつ大兎によって、リゼロの世界では数多くの犠牲者が出ています。
作中では何も知らないスバルが大兎に遭遇。
スバルが大兎に食い尽くされ死に戻るという、作中屈指のトラウマシーンが誕生しました。





大兎は分裂した全ての個体が空腹を共有しているんだ。
だから、目の前に生物がいれば群れで食い尽くすのさ。



きぃ!



あ…僕の人生終わったわ…



この子は無闇に人を襲わないように躾けてある。
触れなければ襲わないはずだよ。



なんとか命は助かった…のか?
もう帰ってもいいですか?泣



きぃ?



帰るだなんて言わないでおくれ。
ボクが指示すれば、この子が君を襲ってしまうかもよ?



あ…これは生きて帰れないかも。
習性を利用した対策


ひとまとめに群れを葬らなければならないので、完全に討伐するのが不可能に思える大兎。
しかし、大兎の群れを1ヶ所に集める方法は意外に単純です。
その方法とは、大兎を集めたい場所で強大なマナ(魔力)を発生させること。
大兎は群れを一掃しなければならないので、これは大兎を討伐するための立派な対策。
こんな単純な対策ができるのには、大兎の習性が関係しています。
本章では、そんな大兎の習性とリゼロ作中での討伐方法について解説します。



ところで、無限に分裂する大兎を倒すことは可能なんですか?



倒せる手段がないわけではないよ。
大兎はその習性を利用すれば簡単に誘導できるからね。



大兎の習性?



大兎にはマナの総量が多い場所に惹かれる習性があるのさ。
マナに惹かれる習性
群れが一掃されない限り滅びることがない大兎にとって、1ヶ所に集まることはリスクしかありません。
それにも関わらず、集まってしまうのにはいくつか要因があります。
1つ目の要因は、マナの総量が多いところに惹かれる習性。
この習性によって大兎は簡単にマナが多い場所に誘導されてしまいます。


「群れの全ての個体がマナに気付かない可能性もあるのでは?」と疑問に思うかもしれません。
しかし、ここで2つ目の要因が絡んできます。
それは、どんなに多く分裂しても大兎の意識は1つであること。
この要因によって、1匹の大兎がマナに気付けば全ての個体が同じ対象に向かってしまうのです。


「意識が1つなら意図的に別行動できるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、大兎には知能が低いという弱点が存在します。
個人的には、これが大兎が1ヶ所に集まってしまう最大の要因だと考えています。
辛辣なことを書きましたが、恐らく大兎は無限の食欲によって空腹を満たすことしか考えられないのでしょう。
当然、別行動するという知恵はなく本能のままに行動してしまいます。


これらの要因から、大兎は強大なマナさえあれば簡単に誘導が可能。
つまり、強力な魔法使いさえいれば大兎を1ヶ所に集めることは難しくないのです。



大兎の群れにおいて、全ての個体で意識を共有しているんだ。
学習能力もないから、習性に従って簡単にマナに集まってしまう。
そこを一網打尽にするのが大兎の対策と言えるね。



なんだか希望が見えてきましたね!
これなら大兎を倒せるかも?



きぃえええ!!!



ヒェ!?



そんな簡単に倒せるなら三大魔獣には入らないさ。
一網打尽と言っても、その数は数万に及ぶからね。
リゼロ作中での討伐
大兎を1ヶ所に集めることはそれほど難しくありません。
しかし、討伐となると話は別。
リゼロ作中ではスバルとエミリア、そして万全な状態の『ベアトリス』という精霊が討伐に参加しました。
この時のスバルを除く2人はリゼロ世界の中でもトップクラスの魔力を誇っています。
討伐の流れを簡単に説明すると、以下の通りです。
まず、天候を操る大魔法に大兎の群れが集合。
スバル達は集まった大兎を魔法の柵で囲み、エミリアの魔法で囲んだ範囲を空中に浮かせました。
そして、ベアトリスが『アル・シャマク』という魔法を発動。
空中に浮かんだ地形ごと別空間に送ることで大兎の討伐を果たしています。
余談ですが、送られた別空間の中で大兎は共食いを始めて自滅しています。


引用:Re:ゼロから始める異世界生活(アニメ第50話)
文章にすると、簡単に討伐されたように思える大兎。
しかし、数千数万匹に分裂した大兎の群れを一掃する程の魔法には当然それ相応のマナが消費されます。
もちろんアル・シャマクも例外ではありません。
なんと、アル・シャマクを使用したベアトリスは400年間貯めたマナを使い果たしました。
「だから、ないのよ。四百年分の貯蔵マナ全部、この間の初陣でぶっ放したかしら。禁書庫の喪失でも結構持っていかれたし……最後のアル・シャマクがトドメなのよ。ベティーが貯め込んだマナは、空っ欠になったかしら」
Re:ゼロから始める異世界生活 第四章幕間『エミリア陣営・魔人・精霊・精霊使い』
つまり、大兎の討伐には規格外な量のマナを消費する程の魔法が必要ということ。
リゼロ世界でもそこまで大規模な魔法を使える魔法使いは相当限られるでしょう。
スバル達が大兎を討伐できたのは、奇跡的な条件が重なった結果と言えます。
ですので、対策をしたところで大兎を討伐するのは基本的に不可能なのです。



とある一団は大兎を誘き寄せ、大魔法で地形ごと別空間に送ることで大兎の討伐を果たしたそうだよ。



地形ごと別空間に送るって(汗)
めちゃくちゃマナを消耗しそうですね…



その予想は的中しているよ。
大魔法を使用した精霊は400年間貯めたマナを使い果たしたそうだ。



400年間分のマナ!?



そんな大魔法を使える者がそうそういるとは思えない。
大兎を討伐した一団は奇跡的に条件が揃っていたんだろうね。



やっぱり大兎の討伐は無理ゲーっぽいですね(泣)



きぃ!



一般人は関わらないのが一番の対策と言えるね。



あなたが関わらせてるんですけどね!!
エピローグ



以上で大兎の説明は終わりだ。
興味深い魔獣だっただろう?



興味深くはありますけど…
これ以上関わりたくはないですかね(汗)



きぃ!



この子は君と関わりたそうだけどね。
もしかしたら、カンガルー肉の味を知りたいのかもしれない。



カンガルーノニクオイシクナイヨ…



きぃ?



冗談を真に受けるとは、面白いカンガルーだね。
良いリアクションが見れてボクは満足だ。



コピドナさんの場合は冗談に聞こえないですよ(汗)



また会うことあれば、他の魔獣についても教えてあげよう。
それまで励みたまえよカンガルー君。



あれ?お詫びに説明してくれてたんじゃなかったっけ?
本記事で解説した大兎は『Re:ゼロから始める異世界生活 第四章 聖域と強欲の魔女』で登場します。
大兎に興味をもったなら、ぜひアニメ2期またはマンガをご一読ください。
作中トップクラスのトラウマシーンが見れることをお約束します。
本記事はこれで終わりです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!