【ポケモンSV】似てるけど無関係?ウミディグダとディグダに学ぶ『収斂進化』

ノウキン

ポケモン最新作の発売日までもう少し!
早くパルデア地方に冒険に行きたいっす!

ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の発売日が近づいてきました。

多くのポケモンファンが発売を待ち望んでいる中、新たに公開されたポケモンが話題になりました。

そのポケモンの名前は『ウミディグダ』。

ノウキン

海にいるディグダで『ウミディグダ』かー
ド直球なネーミングっすね(笑)

怪しい老人

確かに安易なネーミングじゃが、面白いポケモンなのじゃぞ。

ノウキン

あのー、どちら様ですか?

ドクターO

訳あって本名は言えぬが、『ドクターO』と呼んでおくれ。
そんなことより、ウミディグダの面白い情報が入ったぞ。

その姿と直球なネーミングで話題のウミディグダですが、そんな中ポケモン公式から衝撃の事実が明かされました。

ディグダに似ていますが、まるで別の種類のポケモンです。砂から体の一部を出して、海中のエサを食べています。砂の中の体はどうなっているのか、長さがどの程度あるのかは、未だ解明されていません。

『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』公式サイト

なんと、ウミディグダはディグダとは何も関係のないポケモンだというのです。

ノウキン

こんなに似ているのにディグダと関係ない!?
そういえば、現実世界でもそういうことがあるような…

ドクターO

現実世界では『収斂進化しゅうれんしんか』と呼ばれている現象じゃな。

現実世界でも、全く異なる系統の生物が環境要因などで似たような形態へとそれぞれ進化する場合があります。

このような進化は『収斂進化』と呼ばれ、現実世界でも見られる現象です。

極端な例だと、飛ぶためにそれぞれが進化の過程で獲得した『鳥類の翼』と『昆虫の羽』が当てはまります。

また、オーストラリアのような独立した環境で収斂進化は起こりやすいと考えられています。

ドクターO

ウミディグダとディグダのような名前の関係の種もおるぞ。
有名なのは、オーストラリアの有袋類ゆうたいるいじゃな。

ノウキン

ご先祖様の故郷!
具体的にはどんな感じなんっすか?

ドクターO

『フクロモグラ』など、一般的な哺乳類の名前の先頭に『フクロ』とつけられておる有袋類がオーストラリアに多く生息しているのじゃよ。

ノウキン

それは初めて知ったっす!
ドクターO、めっちゃ知識あるっすね!

ドクターO

だてに歳を取ってないからのー
ウミディグダとディグダについて論文を書くつもりなんじゃが、話をまとめるためにちょいと話を聞いてやくれんかね。

ノウキン

ろ、論文!?
ぜひお願いします!

今回は「ウミディグダとディグダのある部分が収斂進化の結果である」という考察を書いていきますが、筆者の考えを多く含みますので、ご理解いただけますと幸いです。

目次

ポケモンと現実世界の『進化』の違い

ドクターO

まずは混乱を防ぐためにポケモンと現実世界の『進化』の違いについて説明するかのー

ノウキン

なんとなくは知ってるっすけど、混乱したくないのでお願いします!

ポケモンの進化は個体単位で起こります。

例えば、ヒトカゲは経験値を得ることで『ヒトカゲ→リザード→リザードン』と形態を変化させます。

この形態の変化は一個体で起こることであり、現実世界では『変態へんたい』と呼ばれる現象に近いです。

ポケモンの進化
ノウキン

ポケモンの『メガシンカ』は現実世界だと『メガ変態』っすね(笑)

ドクターO

そう言う人々が出ると予想されたから、ポケモンの形態変化は『進化』と呼ばれるようになったのかもしれんな。

ノウキン

すいません…

一方で現実世界の進化は何世代にも渡って起こります。

例えば、ヒトを含めた哺乳類は『起源種→…→魚類→両生類→哺乳類』と何十億年もかけて誕生しました。

この過程で、生存に有利な特徴をもつ個体が子孫を残す自然選択が働いていると考えられています。

現実世界の進化は世代を経て環境に適応した性質や姿になることと本記事では定義します。

現実世界の進化
ドクターO

ワシは「ポケモンも現実世界の進化をしている」と考えておるんじゃ。

ノウキン

ポケモンも世代を経て姿を変えているってことっすか?

ドクターO

そういうことじゃな。

『リージョンフォーム』は現実世界の進化の結果

ドクターO

ワシが「ポケモンも現実世界の進化をしている」と考える根拠は『リージョンフォーム』じゃ。

ノウキン

同じポケモンでも地方によって姿が変わるやつっすね!
最初、ウミディグダはディグダのパルデアの姿だと思いました!

近年のポケモンでは過去に登場したポケモンが特定の地方でこれまでとは異なる姿をしていることがあり、このような姿は『リージョンフォーム』と呼ばれています。

今回の話に出てくるディグダにはアローラ地方のリージョンフォーム(以降、『アローラディグダ』)が存在します。

ノウキン

アローラディグダは頭に生えた毛が特徴的っすよね(笑)

ドクターO

この毛はヒゲなんじゃが、アローラ地方の火山地帯に住み着いた原種のディグダが現実世界の進化をして獲得したと考えておる。

原種のディグダと異なり、アローラディグダは火山地帯に生息しています。

火山地帯は隠れる場所が少なく外敵に襲われやすいため、ディグダは顔をあまり出せません。

そこで、顔を出さずに外敵を探知するために獲得したのがアローラディグダの頭に生えている3本のヒゲです。

3本のヒゲは金属質であり、顔を出さずに周囲を探るセンサーや仲間との交信手段として役割を果たしています。

ドクターO

アローラディグダのヒゲは恐らく自然選択の結果じゃ。
ヒゲのないディグダはアローラ地方で生き残れなかったのじゃろうな。

ノウキン

自然選択まで関わってくると、まさに現実世界の進化って感じっすね!

アローラ地方では原種のディグダの中に火山などの影響で頭に金属のヒゲが生えた個体が生まれ、より火山地帯に適したヒゲの生えた個体(アローラディグダ)が自然選択されたと考えられます。

火山地帯でのディグダの自然選択

上記考察が正しければ、『リージョンフォーム』は現実世界の進化の結果であり、ポケモンも現実世界の進化をしていることになります。

ドクターO

各地方の環境に合わせて姿を変えた『リージョンフォーム』の多くは、ポケモンが現実世界の進化をした結果じゃとワシは考えておる。

ノウキン

その可能性は高そうっすね!

ウミディグダとディグダの大きな鼻は収斂進化の結果説

ここまでの話で「ポケモンも現実世界の進化をしている」と考察しました。

それを前提にここからウミディグダとディグダについて考察します。

(左)ウミディグダ(右)ディグダ
ドクターO

前振りが長くなってしまったが、ここからが本題じゃ。
君はウミディグダとディグダの共通点はなんだと思うかね。

ノウキン

そう言われると、顔のパーツくらいっすね…
特に『大きな鼻』が似ていると思うっす!

ドクターO

多くの人がそう答えるじゃろうな。
あれほど大きな鼻をもつポケモンはそうおらん。

ノウキン

あの鼻には何か秘密があるんっすかね。

ドクターO

ワシはあの大きな鼻は収斂進化の結果と仮説を立てておる。

ウミディグダとディグダに共通する大きな鼻に関わりがありそうな情報を以下にまとめます。

まず、ウミディグダに関してはポケモン公式で嗅覚きゅうかくについて触れられています。

嗅覚が優れていて、20メートル先の匂いも嗅ぎ取ることができます。周囲を常に警戒している臆病な性格で、他のポケモンのにおいに気付くと、砂の中に引っ込んで身を隠します。

『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』公式サイト

上記の説明からウミディグダは外敵から身を守るために強力な嗅覚をもっていることがわかります。

ドクターO

ウミディグダは強力な嗅覚をもっていることが既にわかっておるのじゃ。

ノウキン

20メートル先の匂いも嗅ぎ取れる程の嗅覚かー
逆に生活に悪影響が出そうな気がするっす(汗)

一方、ディグダは鼻や嗅覚に関する図鑑説明は見つかりませんでしたが、太陽が苦手であるという記述がありました。

地中で暮らしているポケモン。 暗い地下にいるため明るい太陽が苦手。

ポケモンずかん『ポッケトモンスター ブリリアントダイアモンド・シャイニングパール』

地中で生活する生物は視力が低いことが大半であるため、ディグダも視覚にあまり頼ってはいないことが予想されます。

また、ディグダのモチーフである『モグラ』は強力な嗅覚をもっており、ディグダも同レベルの嗅覚をもっていると考えられます。

ドクターO

ディグダのモチーフであるモグラは匂いを立体的に把握するほどの嗅覚をもっておるのじゃ。

ノウキン

ディグダが同じような嗅覚をもっていても不思議ではないっすね!

これらのことからウミディグダとディグダのどちらも強力な嗅覚をもっており、大きな鼻はそれに関わっている可能性が高いです。

アローラディグダのヒゲが『頭を出さずに外敵を探知するためのセンサー』なのに対して、大きな鼻は『頭を出しながら外敵を探知するセンサー』なのかもしれません。

ドクターO

あの大きな鼻は恐らくセンサーなんじゃろうが、ウミディグダとディグダの鼻が大きくなったのは自然選択の結果じゃと考えておる。

ノウキン

元々は鼻が小さかったってことっすか?

ドクターO

少なくとも今よりは小さかったんじゃないかのー
より広範囲の外敵を探知できる強力な嗅覚をもつ大きな鼻の個体が自然選択されたというのがワシの考えじゃ。

ウミディグダとディグダの鼻が匂いを探知する嗅細胞きゅうさいぼうの塊であると仮定すると、鼻が大きいほど強力な嗅覚(センサー)をもつことになり生存に有利に働きます。

ウミディグダは海・ディグダは陸で生存に有利な大きな鼻をもつ個体の自然選択がそれぞれ起こったと考えられます。

海と陸で同様の自然選択が起きた説

異なるポケモンが異なる環境で同様な特徴をもつ個体が自然選択された結果、大きな鼻をもったウミディグダとディグダがそれぞれ海と陸で繁栄したというのが今回の考察です。

上記考察が正しければ、ウミディグダとディグダの大きな鼻は典型的な収斂進化の結果と言えます。

陸に生息するディグダの方が早く発見されたため、後から海で発見された大きな鼻がそっくりなウミディグダはその名を付けられたのでしょう。

ノウキン

ウミディグダとディグダはあくまで他人の空似なんっすねー

ドクターO

全く別の環境で全く別の種が同様の特徴を自然選択で獲得する。
ウミディグダとディグダはポケモン界の収斂進化の代表例になるじゃろうな。

エピローグ

ドクターO

お前さんが話を聞いてくれたおかげで考えがまとまってきたわい。

ノウキン

それはよかった!
これからどうするんっすか?

ドクターO

仮説を証明するためにパルデア地方へフィールドワークに行くぞ。
その後は論文発表の準備で缶詰じゃろうなー

ノウキン

もしかしてドクターOって凄い研究者?

ドクターO

今回はありがとうのー
また会ったら研究の話でもしようぞ。

ノウキン

もちろんっす!
ドクターO、こちらこそありがとうございました!

ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』は2022年11月18日発売です。

ウミディグダやディグダに会いたい方は、ドクターOのようにをパルデア地方にフィールドワークに行ってみてはいかがでしょうか。

今回の記事はこれで終わりです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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